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水島博巳 社会保険労務士・行政書士事務所の所長ブログです。
2012-04-28 (土) | 編集 |
昨日の朝の出来事です。
横浜線と京浜東北線で共に「運行見合わせ」が発生しました。
大口駅でのホームからの転落事故と、鶯谷駅での人身事故が原因と車内アナウンスで説明がされていました。

事務所がある新横浜駅から大森駅へ向かう途中でした。
通勤時間帯に重なり、東神奈川駅は大混雑。
平行して走る京浜急行の仲木戸駅へ向かう人の波。
その先の狭い改札に入るための長蛇の列。

そんな中、小降りでしたが雨のコンコースで、小さなお子さんを抱えて困惑顔のお母さん。
きっと途中でお子さんを保育所に預けて出勤する途上だったのでしょう。大きく予定が狂ったのかもしれません。
疲労か体調不良か、しゃがみ込む老サラリーマン。
雨のコンコースの車椅子の方。
彼女や彼には何にも過失はありません。

転落事故も人身事故も不幸な出来事です。
少々大袈裟かもしれませんが、その「連鎖」で不幸が突然訪れた人々。
その責任は誰が負うのでしょうか。


無免許で居眠り運転の少年が、多くの尊い生命を奪いました。
夜通し遊びまわった結果と報じられています。
無軌道な生活を繰り返す少年をある意味「放し飼い」にした結果とも言えます。
病気を隠して運転免許を取得して、結果として多くの犠牲者を出してしまった桜の季節の不幸な出来事。
医師や家族の注意を聞き入れずに運転を続けたと報じられています。
その「連鎖」で不幸が突然訪れた人々。
ある意味、すくなからず予見できた出来事を防止する努力をせずに、「放し飼い」にしてしまった責任は誰が負うのでしょうか。

横浜駅で奇声をあげてビニール傘を振り回して歩く少年を見かけました。
私立高校生のような綺麗な身なりをしていました。
想像ですが、若干の障害をお持ちのお子さんでしょう。
服装がしっかりしているのは、彼のお母様がしっかりしているからでしょう。
少し考えてしまいました。
彼が自立するためのプロセスとして彼の人権を考えて、彼の奇声や奇行は社会が容認すべきかもしれません。
一方で、そのビニール傘が誰かのの目に当ったらどうなるのでしょうか。
「連鎖」で失明したら、どうなるのでしょうか。
言葉が適切ではないかもしれませんが、彼の「放し飼い」の責任は誰が負うのでしょうか。


「連鎖」で起き得る不幸な出来事。
いつ起きるかわかりません。
自分自身で身を守る。
それも必要なことです。
「連鎖」を起こしてしまう事象を予見して予防する責任。
「世間様に迷惑をかけてはいけない」
「親兄弟、親戚、ご近所に顔向けできない」
狭い国土で共に生活する日本人の法律を超えた古くからの美徳。
権利主張の前に、その美徳を思い返したいと思います。


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2012-04-11 (水) | 編集 |
言葉の意味

「すみません」って言う言葉。
さて、お詫びでしょうか? 
それとも、お礼でしょうか?

場面を想像してみて下さい。
駅でよそ見をしながら歩いていて、若い女性にぶつかってしまいました。
「すみません」
駅で行く先のホームが分からずに、通りがかりの紳士に訊ねて教えて頂きました。
「すみません」

本当は「ごめんなさい」
本当は「ありがとうございます」

ある女子高では「ごきげんよう」が「こんにちは」であり「さようなら」でもあります。

かって大阪に単身赴任をしたときに気がつきました。
「ごめんな!堪忍やで!」
「おおきに!ありがとう」
東京よりも情がこもっていて、言葉の意味がはっきりしています。

昨日ある公園で高齢者施設の方々が、満開の桜を見にきていました。
車椅子の方が多く、やっとの外出のようです。
若いヘルパーの方が、「おばあさま」に声かけをしていました。
たぶんお耳が遠いのでしょう。
ヘルパーさんの声は、数メートル離れた私の耳にも届きました。
「来年も見に来ましょうね!」

「おばあさま」は笑顔を見せていましたが・・・
老い先短いことは、理解されていると思います。
ヘルパーの方は元気で長生きして欲しいとの素直な思いからの声かけだったと思います。

満開の桜。あと1週間もすれば葉桜になり、美しい桜色はなくなります。
来年も見ることが出来るのか・・・
「おばあさま」に、あらためて老い先のことを意識させてしまったのではないのかな・・・なんて、ふと感傷的に思ってしまいました。
考え過ぎかもしれません。

頑張っている方に「頑張って!」とのエール。
嬉しいと思う方。
余計に負担を感じる方。どうでしょうか。

言葉の意味。


2012-04-06 (金) | 編集 |
60歳定年制

定年年齢は60歳。
法令上は①65歳まで定年延長②65歳までの継続雇用制度③定年制度の廃止。
そのいずれかの採用を企業に義務付けています。
継続雇用制度を採用する場合、継続雇用の基準について労使協定等により予め決めることを認めています。

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正により、その基準を設けることが出来なくなり、原則65歳まで希望者全員が継続して雇用されることになります。
経営側からは「若年者雇用について阻害要因」になるとの意見も出ています。

はたして、本当に希望者全員が継続して雇用されるのでしょうか。
継続雇用は、1年ごとに労働契約を更新する形態を取ることも可能と思われます。
その基準に年齢制限的な要素を含むことは出来ませんが、最低賃金等の法令上や行政上の制約に抵触しなければ、業務遂行能力や勤務態度等についての基準を設けることは可能です。
勿論、その更新できない場合(所謂「雇い止め」)においては、客観的合理性と社会的相当性が必要ですが、もしかすると現在より継続雇用が減少することもあり得るのではないでしょうか。

従って、個々の従業員にとって厳しい選択を余儀なくされる場合もあるでしょう。
今般の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正は、一定の条件のもと関連子会社等における雇用も継続雇用として認められます。そうなると一般的に賃金や処遇の低下を伴う労働条件の変化を、従業員は受け入れざるを得ないでしょう。子会社への転籍、賃金の低下、労働環境の変化など相当の覚悟は必要です。予め労使協定等で包括的な基準を設ける場合と異なり、経営者も従業員も相当に慎重な対応が求められるようになりそうです。

厳しいお話ばかりしましたが、今日の日経新聞に高齢者(60歳以上)パイロットの活用についての記事がありました。パイロットは2種類以上の機種の免許を持てないという制約のもと、高齢者パイロットは熟練した旧式の機種に対応し、若年パイロットは新型機種に対応することが出来るので、航空会社の経営上のメリットもあるような趣旨の記事でした。
伝統芸能や文化、熟練技術を要する大工仕事にも同様のことが言えると思います。
65歳を過ぎて介護施設のセンター長として、元気にご活躍されている女性も知っています。
70歳過ぎても現役で経営革新に励む中小企業の経営者もたくさんいらっしゃいます。

60歳以上には誰でもが確実になります。
60歳以降(勿論65歳以降でも)の働き方は、ご自身の自由選択です。
十分な財産的背景があれば、60歳を待たずに早期にリタイヤをすることも自由です。
法律や就業規則など社会的ルールに頼り、60歳以降に甘んじて厳しい労働条件を受け入れることも、ひとつの選択肢として否定はできません。
その選択の幅は40歳代や50歳代における「働き方」の意識や選択により大きく変わります。
(もっとも40歳からパイロットに挑戦することは現実的ではありませんが)

選択の幅を広げる「気づき」を遅くとも50歳台前半で持つことが出来るようにしたいものです。
経営者(政府)は「気づき」を広げるチャンスを造る支援をすることで、従業員が(国民が)60歳以降も元気に活躍できる企業(社会)を造ることができると思います。
「若年層の雇用の阻害」など否定的に捉えるのではなく、更新する基準が厳しくなると否定的に捉えるのではなく、高齢化社会を迎える際して、60歳以降の「働き方」を前向きに考える社会風土が出来るように心がけたいものです。高齢化社会の到来という現実を見て、企業(日本国)の活性化に真剣に取り組みたいと思います。